昔、野生の木いちごを「魚(いお)の血のある子のごとし」と言っていたそうで、魚の[い]、血の[ち]子のごとしの[こ]、をとりそこから名前がつけられ「いちご」と呼ぶようになったといわれています。
別の呼び方で「いちび」というものもあります。また、「苺」という文字は「乳首のような実がなる」という意味から生まれたようです。また、イチゴの属名の「Fragaria」は、ラテン語で「香る」という意味。これはイチゴのあの独特の甘く良い香りが由来だそうです。
イチゴは英語名でStrawberry(ストロベリー)といいますが、この語源は苗の周りにStraw(麦わら)を敷いて栽培していたことに由来するという説や、わらのように水を吸うところから名付けられたという説、「散らかす」を意味するstrew(strawの古語)に由来するという説,など、色々あります。
みなさんも知ってるように、ストロベリーのほかにも「○○ベリー」とつく食べ物がいくつかあります。
○ ストロベリー(オランダ苺) ○ ラズベリー(ヨーロッパ木苺)
○ ブラックベリー ○ デューベリー
○ ブルーベリー ○ クランベリー
この中で仲間はずれなのはどれだか分かるでしょうか?実は、ストロベリーに次に人気がある「ブルーベリー」と、最近人気が上がっている「クランベリー」が仲間はずれなんです。ブルーベリーもクランベリーもツツジ科のコケモモ属の植物で、同じ系統に属するものにはコケモモがありますね。
いちごの野生種の歴史は古くあり、すでに石器時代には採取され食べられていたようです。これを裏付ける証拠として、ヨーロッパの遺跡からイチゴの種子が出土しているのです。また果実以外にも茎葉や根が薬用として利用されていたという古い記録が残されています。
現在の栽培イチゴの原産地は北米東部と南米チリ。北米のイチゴと南アメリカのイチゴが別々のルートでヨーロッパに渡り、14世紀頃には野生種(ワイルドベリー)の栽培が行われるようになったそうです。17世紀中頃になるとこれらの野生種を交配して栽培種の原型が生まれて、数度の品種改良を経て、18世紀後半には全世界に広まったようです。
日本に栽培イチゴが持ち込まれたのは江戸時代末期と言われていて、様々な文化とともに当時唯一の開港地であった長崎に伝わり「和蘭苺」と呼ばれていました。有名なシーボルトや妻:タキもイチゴを食べたと伝えられていますが、イチゴの色が血液を想像させるために、当時は食用として栽培が定着することなく、観賞用として楽しまれているだけでした。日本で本格的にイチゴの栽培が行われるようになったのは明治時代に入ってから。明治32年に福羽逸人博士により「福羽」という品種が育成されたため、これが国内の栽培イチゴの基礎となったそうです。
日本でイチゴが広く一般に食べられるようになったのは、第二次大戦後にしばらく経ってからです。1960(昭和35)年頃から日本各地で栽培が盛んに行われるようになったので、ようやく庶民の口にも入るようになりました。
現在、日本国内で生産されるイチゴの量は年間10万トンを超えるといわれています。イチゴ栽培の歴史がまだ100年程度でしかないのが、何だか意外に思えてきますよね。都道府県別に収穫量の割合を見てみると、栃木県が全国の15%を占め、次いで福岡県が10%、熊本県が7%を占めています。この3県で全国の約3割を占めているようです。
いちごの生産量のトップを誇るのはアメリカです。アメリカでは露地栽培が主流で、ハウス栽培はどうやら日本向けの輸出用のものばかりなのだそうです。日本は、イチゴの少ない6月から11月を中心に海外からイチゴを輸入しています。その量は国内生産量からするとごくわずかで、2005年の実績では、アメリカから年間3,789トン、韓国から年間159トンほどを輸入しています。
いちごの栄養素と健康効果イチゴはビタミンCが豊富なことで有名ですが、それ以外にも様々な栄養素を含んでいます。
ショ糖はブドウ糖と果糖が結合してできた物質で、一般的に「砂糖」として知られています。果糖は自然界に広くあるもので、糖類のなかでもっとも良質の甘さを持っていて、果糖にはショ糖と比べると1.3〜1.7倍の甘みがあります。ブドウ糖は全ての有機物が合成されるために必要な基本的物質で、私たち人間の脳を動かす唯一の栄養源です。3種類の糖の中でもっとも甘みが弱く、ショ糖の0.5〜0.7倍程度とされているそうです。
Last update:2017/5/8